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父、帰る … ロシア映画
2007/03/08(Thu)
父、帰る

監督 アンドレイ・ズビャギンツェフ
2003年  111分
2003年  ベネチア国際映画祭金獅子賞・新人監督賞

ロシアの片田舎。アンドレイとイワンの兄弟は
母と祖母と幸せに暮らしていた。 
父親は12年前に家を出て行ったきり行方不明。
そんなある日、父が突然帰ってくる。
兄弟の戸惑いをよそに、父は二人を小旅行に連れ出そうとする。
母も容認している。
道中、父は強い父親を演じるかのごとく、
ときの暴力的に兄弟にあたる。
また、仕事ができたと言って、
日程も行き先もは勝手に変更する。
それでも、兄は空白の期間を取り戻そうとするかのように
父に従う。
弟は、素直に受け入れられないままに、反抗心を募らせていく。
やがて、父の案内のもとたどり着いた湖の小島で悲劇が起き、
父は去っていく。
一週間の物語を曜日を追って語っていく構成は、
兄弟の心の動き、父の目的のわからない行動に
区切りを与える。

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父は本当に父親なのだろうか?
まず浮かぶ疑問である。
祖母も母も受け入れていることから、そうだったに違いないと思える。
ただ、彼がどういう人間で、
この12年間の過ごし方について、
何も語らないし、表現もされていない。
なぜ、祖母も母も受け入れたのだろうか?

最初1泊2日の約束で自動車旅行に出る父子。
父は仕事と称し、どこかに頻繁に長電話をする。
そのあげく、二人を連れて仕事をするという。
そのために日程が延び、
行き先もどことも知れない無人島に変わるのである。
この先にどのような秘密が隠されているのだろうか?

まるで密航者のように嵐の中、小さなボートで島に渡る3人。
島はかつて人が住んでいた形跡があるものの、
無人島。
島の真ん中当たりに、周囲が見渡される櫓と廃屋があるだけ。
父は廃屋の中から、小箱を掘り出す。
これが仕事だったのかと少しばかり納得がいく瞬間である。
と、同時にこの小箱は何?と次の疑問が湧く。
父は小箱をボートに隠しおく。

帰る日になり、事件が起こる。
我慢のならなくなった弟は逃げ出すように櫓に上り、
飛び降りてやると言う。
そんな弟を助けるべく父が無理をして櫓に上がろうとするが、
古びた櫓ゆえ、誤って落ちてしまい死んでしまう。

兄弟は苦労して、父の遺体を運ぶが、
ボートで車を乗り捨てた浜にたどり着くと、
目を離した間に、ボートは父と小箱をのせたまま、
湖に沈んでいく。
まるで、始めから存在しなかったかのごとく。

父はいったい何だったのか?
小旅行は、思春期の兄弟が計画した
冒険旅行だったのではないだろうか。
それは、12年不在の父と
決別するべく企画された時間だったのでないだろうか。
すべては二人の想像、
あるいは空想の中の父親であったのかも知れない。
父を必要としていた少年期から、
父の不在を確認し、
独り立ちしていくための儀式であったかと思う。
そんな風に考えていかないと、
父の突然の帰宅と突然の消失は説明できないように思う。
どうだろうか?
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